思考のごみばこ

ゴミはゴミ箱に、思考はインターネットの海に

試着室で思い出したら本当の恋だと思うのか、顔に出したらプロじゃないのか

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インテグレートのCMが話題ですね。

www.shiseido.co.jp

炎上は知ってはいたのですが、CM自体は見ていなくて。

(追記:この記事更新後、録画してた番組見てたら2度も流れました!見れたっ!)

もうWebで見れないんですね・・・。

 

多くの女性の怒りをかったのが以下の内容のよう。

CMは第1弾と第2弾があり、特に批判を浴びているのが第2弾の「がんばってるを顔に出さない」篇。パンをくわえながらPCに向かう主人公(小松菜奈さん)に対し、「今日も頑張ってるねえ」「(でも)それが顔に出ているうちは、プロじゃない」と男性上司がピシャリと語りかける――という内容でした。

 引用元:資生堂「インテグレート」批判受けCM取り下げ 「しんどい生き方助長」「25歳過ぎたら女の子じゃない?」と炎上 - ねとらぼ

 

なるほど・・・。

これは確かに、イラッとくるなというのが正直な感想です。

「そんなのわかってるけど、うるせーよ」

と、言いたい。

天海祐希に言わせるべきだった。

多分、天海祐希みたいなキリッとした女性上司が同じこと言ったら、

ここまで叩かれなかったんじゃないかなぁ。

 男性に言われるっていうのが、世の働く女性の逆鱗に触れたんだと思う。

辛いのは、男性陣も一緒。

女性よりキツイ場面も多いでしょう。

その辛さは、その性じゃないと、わからないから、

言ってもしょうがないのだけども。

だけどあえて言おう。

女性には月1で来襲する敵がいるのです。

もちろん個人差は大きいのだけど、

わかってくれるのは同じく月のものが重い女性のみ。

軽い人は、「あまえんな」と感じる。

私も重いほうなのですが、本当にきつい。

まず1周間ほど前から、急に悲しくなったり、いつもは流せることにイラつく。

はじまったら腹や頭や腰が痛い、立ちくらみがする。

あと、肌が荒れる!これも、気分が落ち込みますね。

最近は白いプツプツが顔中にできるようになりました。

化粧品を変えるのも、生理中はアウトとかいいますね。

肌が敏感になるため。

昨年は痛くてデカいニキビが頬にできて、皮膚科に行ったことも。

 

このような諸々の不調がないだけで、

男性は恵まれてるんじゃないのかな、、、

 

とすら思ってしまいます。

おおっぴらに体調悪いアピールするとバレそうだから、

元気なふりをするのもしんどいです。

自分が悪いわけじゃないのに、バレたら一大事感がある。

このストレスを、大なり小なり女性は背負っているのです。

頑張っているのが顔に出るのは、プロじゃないのか。そうかそうか。

月1の敵のことを知っている女性が言ったのだったら、

少なくとも私は何も思わなかっただろう。

むしろ、ハッとしたと思います。自分の弱さに。

目を充血させて出社してはいけない

そして私が思い出すのは、電通勤務で過労死認定された東大卒の女性のこと。

「髪ボサボサ、目を充血させて出社すんな」

と、上司に言われたとつぶやいてましたね。

どんなに追い込まれているときでも、颯爽としていなければいけない。

それは、社会人としてのマナーなのかもしれない。

頑張ってる姿を見せない、いっぱいいっぱいなのを悟られないようにするため、

働く女性たちはきれいに化粧をし、身だしなみを整える必要があるのです。

資生堂の言いたいことはよくわかるんです。

いつも、いつまでもきれいでいること、素敵な社会人女性であることの大切さと、

それをサポートするのが化粧なんですよ、っていうこと。

間違えたことは言っていないんだよねえ。

でも、それ、化粧品会社が言ったら夢がなくないですか。

義務でする化粧って、苦痛でしかないもの。

私は大学院で、ざっくり言うとデザインをやっていたのですが、

 授業の課題でソフトウェアのデザインをするというのがあったのです。

私は、よくする化粧のテンプレートを鏡面状の画面に映し出すみたいな、

毎日の化粧を楽にするというソフトの案を出しました。

発表のとき教授に、

「男だからよくわかんないんだけど・・・

 化粧をする楽しみ、喜びとかないの?」

みたいなことを言われたんですよ。忘れられない。

当時私は精神的にも余裕がなく、体調も悪くて手術を繰り返しており、

化粧なんて毎日のルーティンのひとつだった。

それを見透かされてましたね。

試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。

LUMINEのコピーで、こんなものがありました。

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これこれ、これなんだよねえ。

好きな人に会う日には、ちょっとおめかししたくなる。

それがデートだったら、そのために服を買っちゃうこともある。

それが恋だし、楽しい消費なんだ。

そういうドキドキ、ワクワクした感情を呼び起こさせてくれるような、

そんな広告、コピー。

 資生堂は、女性を不安にさせる、追い込むのではなく、

ワクワクさせてほしかった。

 LUMINEの広告がよく話題になりますが(これも以前炎上したが)

LUMINEの広告は、女性をワクワクさせるのがうまいと思います。

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「はぁ、明日も仕事か。とりあえずこれ着とくか」

「会社用にセールでブラウス仕入れるか」

こんな気持ちで服を選ぶ不幸さ。

「あ〜化粧めんどくさ!今日はアイシャドウなしでええやろ」

などと、義務的に化粧をする朝の不幸さ。

 

多くの働く女性は、その不幸を身をもって知っているのです。

だから、資生堂の追い込みに立腹した。

私、思うんです。

怒りって、悲しみに似てる。

自分が踏みにじられたって感じて、傷ついて、

それが怒りへと昇華していくこと、多いんじゃないかなって。

 

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言ってることの本質は、資生堂と同じなんですよ。

だけどLUMINEのコピーは、きちんと、女性に寄り添っている。

社会で働く女性のメイン層、特に責任を持ちだすのが 

 資生堂の第2弾CMでも大きな意味をもった「25歳」からじゃないかな。

女性にかぎらず、人は社会のなかでいろんな葛藤が生まれて、

そのなかを生きている。

笑顔になるのが辛い日だってある。

全身黒い服を着たいような、黒しか着れない気分の日もある。

どうしてもベッドにしがみつきたい、

肌に色をのせたくない日も、ある。

 

それを、「プロじゃない」という言葉でザックリ切ったのが、

資生堂CMの愚かなところ。

 

嗚呼25歳

インテグレートのWebCMは、それだけじゃない。

第2弾CMが「若さがなくなると女は変わらねばならぬ」

というテーマなのも、嫌悪感を示している人が多いですよね。

 これもやはり、一言で言うと

「わかってるけど、うるせーよ」

 なんです。

女性が若さ、きれいさを求められる存在だなんて、

女性自身が一番よくわかっている。

それが失われていく恐怖も。

だからこそ、コスメやアパレル業界の方々には、

恐怖を煽るのではなく、

寄り添ってほしいなと、思うのです。

アラサーのおばちゃんからの、お願い。